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新信託法改正の注意点 受益権売買があった場合

※この記事は公開から1年以上経っています。
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昨今、不動産取引において信託受益権売買により現物を移転せずに、受益権移転をすることがよく行われています。不動産を信託受益権化することで、不動産流通税及び登録免許税を軽減することができるため、高額不動産取引で受益権化スキームを利用するメリットは大きいでしょう。

ただ、平成18年に信託が大きく改正され、改正判例等が蓄積されていないこともあってか、各方面で信託解釈が確立されていないが現状です。

そこで、今回、これから受益権売買において表面化するであろう論についてお話しします。

まず、受益権売買があった場合、受益者変更登記を行わなければいけません。しかし、世間一般的な(すべて信託がそうだというわけではない)信託だと、もう一つ行うべきことがあります。何でしょうか?

それは、委託者変更登記です。

なぜ、受益権売買で委託者変更までしなければならないか?それは、ほとんど信託契約では、受益権が移転すると委託者地位も承継されると契約上規定されているためです。

信託では、委託者変更登記をする必要はない(できない)と理解されていましたが、逆に、信託解釈では委託者変更登記をすべきにもかかわらず、いまだに委託者変更登記を無視して受益者変更登記みがなされており、元委託者がずっと信託目録に載っているケースがほとんどなです。

では、委託者変更をせずに、不利益を被る場合とは、どんなときしょうか?
それは信託終了・現物化場合です。

信託上は、「委託者と受託者」合意解除は規定があるも、「受益者と受託者」と合意解除ができる旨規定はありません。ところが、旧信託に従う信託契約場合、委託者変更登記ができない、かつ、多く場合に受益権移転と共に委託者地位承継があるという規定があったため、現在受益者=委託者であろうという考えで、「受益者と受託者」合意解除による信託終了登記が許されてきました。

しかし、信託に基づく信託では、委託者変更登記が可能なため、委託者を変更しない場合には、信託目録記載受益者を現在委託者であると判断できないで、信託終了前提として委託者変更を要求する務局が増えるもと予測されます。

詳しくは、弊事務所までお問い合わせください。

文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所
Vol.126 2017.11.30 メールマガジンより転載

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